帰り道、美季はコンビニに寄りたいと言ってきた。
「すぐ終わるから待ってて!」
「りょーかい」
そう言ってコンビニに入って言った。
もうすぐ夏か。
などとぼんやり考えながら私は待っていた。
すると3人組の不良みたいな男が前を通り過ぎた。
やべ、目を会わせないようにしなきゃ。
そんな私の思いを無視して、3人が近寄る。
おう、こっちくんな!
「可愛いね~お姉ちゃん」
「暗い中一人でどうしたの?あぶないな~」
危ないのはお前らだろう。
チキンな私はそんなこと言えるはずもなく…。
「駅まで連れて行ってあげるよ」
一人が私の腕を掴む。
走る悪寒。
うっすら漂う酒の匂い。
こいつら酔ってる!
「やめ…!!!」
「は~い静かにね」
叫ぼうとした口も誰か他の男に塞がれる。
これはリアルにヤバい。
美季…早く!
そうしている内に、引っ張られてビルの裏。
足が震えて動かない。
男3人にかなうわけがない。
グッと目を閉じる。
一人の男の口が私の首筋に触れようとした瞬間だった。
「…ぐぁ!!!」
太い呻き声が響く。
は?何!?
目を開こうとした瞬間、グッと腕を引っ張られる。
ちょ、今日はよく腕を引っ張られる。
なんて考えられたのは、飛び込んだのが誰かの胸の中で安心したから。
安心までは行かないが。
目の前には驚いた3人のヤクザの顔。
独りは腹を抱えてうずくまっている。
じゃ肩を抱いてるのは誰だ?
「行くぞ」
その人は私の腕を引いて走り出す。
暗くて見えないけど声は若い。その時はただ、この人を信頼するしかなかった。