恋愛Ⅰ

 

「此処にいたら風邪引きますよ」

 声を掛けても無反応。

 いつまでこうしているつもりだろう。

 ホントに風邪引いちゃうよね。

 服だって水吸って重くなってるのに・・・

 雨のせいで髪が張り付いていて顔が見えない。

 わたしは彼の前にしゃがみ、そっと彼の髪に触れた。

 そして一瞬にして彼から目が離せなくなった。

 濡れた髪の隙間から覗く漆黒の瞳。

 男の人に綺麗って言葉は失礼なんだろうけど
 ホントに綺麗な人だと思った。

 無意識に「綺麗」と呟いた。

 彼には聞こえたらしく目が合った。

 そのとき思った。
 
 この人、優しい人なんだって。