最悪だ。
その一言に尽きる。


「今日はここまでにしておきましょうか。」


「そうですね。」


 鬱蒼とした森のなか。野宿。
それはいい。
ただっぴろい森のなか、どれだけいるかもわからない魔獣駆除の依頼。
それもいい。


「それにしても魔獣の数が多いですね。まぁ僕は、その分長くここにいられるのでいいんですけど。」



「・・・・。」


 こいつと夜ですら二人きりでいるなんてどんな拷問だ。
そしてそれは喧嘩を売っているのか。
もう不慮の事故と称して殺していいかな。なんて物騒な考えもよぎる。
魔獣に食われたりしないかなこの外道。なんて思うも中々強いコイツは怪我1つ負わない。


「アリアが心配?」


「当たり前でしょう。いくらか平和なあの国でも、おかしなことを考える連中はごろごろいるんですから。」


「心配症だなぁ、もう一人、君とは違う守護者がいるでしょう?」


「・・・・あの騎士は、弱い。わたしより弱いんですよ。」


 そう言い、もう話すことはないとばかりに立ち上がった。


「魔物よけの結界を張りました。ご安心して、魔術士殿はお休みください。」


 結界の外に出てしまえば、この魔術士の声は聞こえない。
内側から出られないようにもしているので、安心できる。

 あぁ、嫌だ。
アリアが心配だ。どうしようもないくらい。
早くこのどうでもいい任務を終わらせて、帰りたい。

けれどそれよりも何よりも、あの観察するような目が気に食わないんだ、私は。