「・・・して、どうして・・・」

「人は一体何時から、その足で立つことを忘れてしまったのだろうね?

神を崇高し、神を頼り縋り押し付ける

ねぇ?愚かな聖女サマ、早くお逃げよ。
わたしは弱いから戦えないよ、護ってはあげられない。」


だからさぁはやく、

「お逃げなさい・・・。 」


 弾かれたように走り出す、決して幼くはない少女の背中を見送る。
自分の意思を揺るがせない強い聖女。
きみは決して愚かなんかじゃなかった。


戦うのは、これが最初で最後だよ。聖女サマ。

いつも隠し持っているナイフを素早く取り出す。
クルクルと回転させながらついと軽く投げ受け止め構える。

「最初で最後だ。

・・・・・・わたしは弱いからね。」


 ニコリ いやそれは易いかな、だってそんな綺麗な笑顔じゃないからね。
醜い、笑顔だ。捧げてあげる、これから死ぬきみ達に・・・。

 穢れのない聖女サマの・・・アリアの笑顔を浮かべて、地を蹴った。



「さようなら、だよ。」