そんなことが、気になって他のことが手につかないなんて…ありえない。
「なにたそがれちゃってるの?」
夏が近づき日が長くなったグラウンドでは、まだまだ運動部の皆が汗を流していて。
校舎の4階からでも、すらっとした後姿は容易に見つけられる。
「ん~?いや、暑そうだなって思って。」
ここは映画研究会の一応部室になっている何かの準備室。
部屋の端っこに油絵っぽいものや石膏に布がかけられて置いてあるから、美術準備室だったのかもしれないけど。
部室とは言っても何があるわけでもない。
なにやら昔使っていた映画の機材っぽいものやフィルム、積み上げられた資料なんかが乱雑に押し込まれたロッカーと、机と椅子が数組あるだけ。
