どうして好きなんだろう



私はズルイ…。


きっと、長谷川くんに惹かれていたはずなのに、義人が私のなかに彼女を
重ねていたことも少なからずショックで。

義人の気持ちをはっきり聞きたかっただけなのに、自分の汚い感情やズルイ想いを思い知らされただけ。


反応のない私に、義人は更にぎゅっと力を込めて抱きしめる。

暖かい義人の腕の中、脳裏に浮かぶすらっとした後姿を必死で打ち消す。


義人の腕がふっと緩められ、指先で顎を持ち上げられる。

目を閉じて近づいてくる義人の顔をスローモーションのように眺めるけれど。


少しずつ長谷川くんに惹かれていた心を打ち消すように、目を閉じて唇を重ねる。