「嘘。…まだ好きなんだよね?彼女のこと。」
…私のことを信じない義人の言葉は、信じられない。
きっと、私の後姿に彼女のそれを重ねていたはず。
「ほんとだって!直のこと拘ってたのは…理央をとられたらイヤだって思ったからで…。
直ってさ、すげーいい奴なんだよ。女の子はみんな直を好きになる。だから、理央も直のこと好きになっちゃうと思ったんだよ。」
その言葉に心臓がドクンッと大きく音を立てる。
さっき口にした私の言葉に、彼女が好きなんだよね?と嫉妬していると感じている義人は、私の動揺に気付いていないどころか、嬉しそうに私を抱き寄せる。
「ごめんね、理央。オレ、理央のことホントに大切に思ってるから。もう全然昔のことを引きずってないよ?だって理央はゆりとは全然違うだろ?」
もうこの際、私と彼女を重ねていたとしても、私には義人を責める権利はない。
