「ゆりと直とオレは、昔っから3人で仲良くてさ。でもオレが自分の気持ちに気付いた時にはもうゆりはずっと直だけ見てたから…オレが邪魔者みたいだったから身を引いただけだよ。そりゃしばらくは他の人を好きになれるかわかんなかったけど。でもちゃんと理央を見つけた。」
熱く私を見つめ、甘ったるいハスキーボイスで耳元に囁きをくれるけれど…じゃあなんで、私を選んだの?
後姿だけなら特徴的な彼女の黒髪と同じ、私の背中の半分まではゆうに届く黒髪。
身長や性格、その砂糖菓子のような声のどれをとっても同じじゃないけれど、髪型だけは眉で揃えられた前髪と共に同じだ。
思えば、義人と付き合い出した頃には私の髪も腰近くまであった。
私の場合はなんのポリシーもなくてパーマもかかり難い扱いにくい直毛を、ただ面倒だからそのまま伸ばしてだけで、彼女の手入れの行き届いた艶髪とは全然違うけれど。
