「そう!オレの自慢の理央ちゃんですよ。…あ、直はもう知ってるんだよね?」
こんな可愛い子に向かって自慢なんていわないで欲しいとペコリと頭を下げたままにするけれど、ゆりちゃんの後ろから歩いてきたその人に投げかけた言葉に顔を上げる。
始めて見る制服姿でこっちに歩いてくる相変わらず無愛想な彼…長谷川くん。
私と目が合うと軽く頭を下げ、「ああ」と義人に向かって返事をする。
その彼は当然のように、そのゆりちゃんの隣に並ぶ。
「バイト先では助けてもらったみたいでありがとね。で、ゆりもテスト終わったの?」
「そうなの。今日はお稽古もなかったし…。直くん待っちゃった。」
隣の長谷川くんを見上げながら頬を染める彼女は、初対面の私からも彼のことが大好きって分かるくらい幸せそうに微笑む。
遠くを見つめたまま会話に参加しない長谷川くんと、いきなりのこの状況に対応しきれていない私を除き、目の前の二人は会話を弾ませている。
