よく考えてみたら、バイト中装着義務のこのサンバイザーのせいで私は長谷川くんの顔を直視したことがなかったってことは、彼も私の表情までは見えてなかったんじゃないかと思い付いて。 「見えてなかった。」 「はぁ!?」 今度はいたずらっ子のように表情を変えるけど、また、私を揺さぶる言葉を吐く。 「あん時より前からバイト中のお前みてた。それで、あんなトコで笑うヤツじゃないって信じたから。」