義人が姿を見せないことに手を叩いて喜んでいた真尋も、さすがに口にする。
「別れたの?」
「ちがう…と、おもうケド。」
「じゃなに?なんかあったの?」
真尋には喧嘩したようなことは話したけど、詳しくは言ってない。
他人にあまり興味のない真尋にとっては、私たちの喧嘩ネタなんて退屈だろうし。
背負いかけたリュックを下ろして私のほうに向いて座りなおす姿に、バイト先でのおじさん事件からの話をかいつまんで話す。
「う~ん…」
途中相づちも打たずに聞き終えた真尋は、眉根を寄せて目を閉じたまま言葉らしい言葉を発しない。
