「なんで!?…そんなに…信用できないならっ、もういい!」
数は疎らとはいえ、校門付近で言い争う私たちは通り過ぎる他の生徒の興味を引いていたけれど。
完全に頭に血が上った私にはそんなコトは全然関係なくて、義人をその場に残したまま背を向け走り出す。
捨て台吐いて逃げ出すなんて…こんなの子供じみている。
しかも他の生徒の目がある前でだ。
でも背を向けて走り出す瞬間に、私たちの会話なんて聞き取れるはずがないくらい離れたグラウンドの端からこっちを見ている長谷川くんに気付いたから。
もしかしたら彼の事で義人と喧嘩になっちゃったこと、自分のせいだと思ってしまったら嫌だ。
これから、彼と話もできなくなるのかと思うと少しだけ泣きそうになっている自分も、嫌。
抱えきれない想いでぐちゃぐちゃになった私の頭では、逃げることしか選択できなかった。
