どうして好きなんだろう


「そうじゃなくて。」

正門から離れ、興味津々な視線から解放されたことでいくらか速度が緩まって、1年前よりも少し引き締まったようにも思えるその端整な横顔が目に入る。


「…限界だった。」


照れているようにも、怒っているようにも思えるその表情に、やっぱり鼓動は早いままで。

自分の耳にもドクンドクンと響く心臓の音にクラクラしながらも、繋がれた手をぐっと引っ張って、直の真正面に立つ。

1年ぶりに捉えたその姿は、前よりもっと男らしい自信をのぞかせていて、上から見下ろす視線も、その腕も何もかもにドキドキする。