「…もぅ、……どうして好きなんだろ…。」 自分に呆れるように呟いて、自分の想いを再確認する。 私だけを見つめたまま、周りの女の子をかき分けて足早に向かってくるのを、まるで映画のワンシーンのようにスローモーションで感じる。 「…おせぇよ。」 懐かしい少し不機嫌な顔でそう呟き、そのスピードのまま私の腕を取って正門とは反対方向に歩き出す。 「…直、なんで…いるの…?」 「さっき日本に着いたから。」 前を向いたまま、私の腕を掴んでいた手を離し、今度はすっと私の手を握る。