物音ひとつしないこの空間で、私の心臓の鼓動が聞こえてしまわないかと一瞬躊躇するけれど、吸い寄せられるように座ったままの直の元に歩みを進める。
促すように画面を指さされて覗き込むと、そこには結構古そうな映像が映し出されていて、どうもコメディっぽい。
隣の机に設置されていたヘッドホンと椅子を差し出されて、戸惑いながらもおずおずとそこに腰掛けて画面に集中する。
ヘッドホンを付けてしまうと外界とは全く分けられたような感覚になって、次第に自分の心臓の音も顔の火照りも気にならなくなる。
隣を見上げることはできないけれど、でも右手が触れるか触れないかの所に直の腕があって、まるで一緒に映画館にいるみたいな感覚。
