もともと図書室で勉強するつもりのなかった私は参考書ひとつ持ってきていなくて、わずかに殺気立つこの空間に不似合いな気がして、たくさんの本棚で埋め尽くされる奥のほうまで歩みを進める。
本棚が途切れたその場所にも仕切りの付いた机はたくさん並んでいて、何気なく見渡して一番端に見つけるその人。
…ヘッドホンをしたまま画面を見ながら、時折声を出さずに笑っている。
椅子にもたれかかり、両手はズボンのポケットに入れられたままで明らかに勉強している雰囲気とは違って、一人だけ自分の部屋にいるように寛いでいる。
久しぶりにちゃんと見る直は全然変わっていないようで少しほっとして、でもすぐに昼間に聞いた義人の話を思い出してしまう。
心臓がドキドキしたりキュッと締め付けられたりで忙しく、動かなきゃと思うのに直から目が離せない。
