「五月蝿い。」 「あ゛ぁ?」 一言、そう言うだけで私の方に振り向く馬鹿。 「何だ、オメエ?」 「逃げな、姉ちゃん。」 女の人は、少し躊躇していたが、足早にメインストリートを立ち去った。 「あーあー、お前のせえで獲物逃がしちまったじゃねーか。」 「良いよ。俺が獲物になってやるよ。」 口端を、クイッと少し上げて言った。