一瞬静まり返る車内。
私…どうなるんだろう。
このまま誘拐でもされちゃうのかな?
でも、あんなかっこいい人だったらいいかも。
なんて変なことばかり考える私。
10秒後くらいに運転席のドアが開いた。
「家どこ?」
って言いながら車に乗り込む男性。
襟足のはねた髪の毛が可愛い。
そんなとこばかり見つめる私に、男性はもう一度言う。
「家教えてってば」
はっとして、慌てて家への道順を説明する。
「えと…この道真っ直ぐ行って…左に曲がって…」
「ちょ、早いんだけど」
って笑って少し振り向いた顔がまた最高にかっこいい。
またドキドキしてきた私をよそに、車は夜の住宅街を走った。
