学校に着いて、まず新しいクラスを確認する。
今年はいじめられないといいな…なんて神様にお願いしながら自分の名前を探していると、

「げっ」

おっと、思わず声が出てしまった。
なぜなら僕の目線の先にあるのは今まで僕をいじめていた上級生の弟の名だからだ。
いったい今年はどうなるやら、早くも不安でいっぱいになる。


「りんたーどうやったー?」

「ぁ……えっと…」


本当は嫌な奴が同じクラスになっちゃったって言いたいけど、よくわからない見栄みたいなものが邪魔をしてくる。

「別に普通……かな。りゅうくんは?」

「今日初めて見る名前ばっかで、よぉわからんわ」

「え?初めて?」





………





………






………







(そういえば転校生だ!!)

あまりに親しくしている所為ですっかり忘れていた。
なんだかこの1,2週間で昔からの幼なじみくらいの距離感になったみたい。


「その顔は……忘れとった顔やな? お前それ今日2回目やで」

「そうだっけ?」


そうしてごく自然な流れで笑いあう。ほのぼの。



でも次の瞬間、僕の視界から隆くんが消えた。
違う、
隆くんの視界から僕が消えたんだ。