隆くんと出会ってから4年の時が経ち、僕は中学1年生、隆くんは中学3年生になった。

梅雨の所為で湿気が多い教室の窓側後方の座席に僕は居た。
本日最後の授業だからだろうか、寝ている生徒が目立つ。
そんな教室内をぼんやりと見渡してから、校庭に勢いよく打ち付けられる雨粒を眺めていた。

しばらくすると終業を知らせるチャイムが鳴り、寝ていた生徒が起きはじめる。
ふとポケットを覗くと、中学生になってから買ってもらったケータイが青く点滅していた。
先生が居ないことを確認してケータイを開く。


「うわっ」


見るとそこには着信5件とメールが2通、それもすべてお母さんからだった。
きっと電話をかけても僕が出ないからメールも送ったんだろう。

まだ開いてないメールのアイコンにただならぬ空気を感じる。


「!!!」


そのメールには信じられないことが書かれていた。


「ぅそ……」


周りには聞こえないくらい小さく呟いた声。
震えだした指先。

(…とにかく行かなきゃ)

急いで教科書類を鞄に詰め込む。
焦ってグシャグシャになったけど、気にしてる場合じゃなかった。

乱暴に鞄を掴んで廊下を走る。
途中で担任に呼び止められた気がしたが耳に入らない。


とにかく夢中で走った。