「やっ、やめてよぉ!!」


夕暮れ迫る公園で、
僕は泣いていた。


「ははっ見ろよこれ!」

「うわーひでぇわ」


そう言って笑いあう目の前の小学6年生の二人組に、買ったばかりの筆箱の中身をばらまかれる。
そしてそれらが水溜まりに次々とダイブしていくのを涙ながらに見ていることしか出来なかった小学3年生の頃の僕。

もともといじめられやすい体質ではあったが、こういった嫌がらせに慣れることはなかった。
いつだって無意識に涙が頬を伝って落ちていってしまう。やめて、という言葉が出てしまう。

だから今日もいつもと同じ要領で泣き喚いていた。



「ちょっと待たんかいボケェ!!!!」



勢いよく放たれたその台詞を聞くまでは。