香織は結局、一睡もせずにデート当日の日を迎えていた。




目覚ましベルの音がリンリンリンと部屋のなかを駆け巡っていた。




香織は支度を済ませ、ついに待ち合わせばしょの駅前に到着した。




しかし、待ち合わせの1時間前にきていたのであった・・・。







「人ごみの中にひとりいる私って、どう見られるんだろう。」




「今日の服にあってるかな・・・。嫌われないかな・・・。初めて使う花のリップクリームつけてみたけど、気付いてくれるかな・・・。」



「もうっ!ドキドキして頭の中が破裂しちゃいそう・・・」





そうこうしているうちに、ついに待ち合わせの時間となっていた。





悠貴は予定時刻ぴったりに笑顔で手を振りながら走ってくる。



どきどきと音をたて、ハートが高鳴っていき、緊張も最高潮に達していた。




『おはよう』が言えない・・・。


『おはよう』の言葉を言うだけでどうして、こんなに震えちゃうんだろう・・・


何度も練習して、失敗しないようにしたのに・・・。




こんなにオシャレして、悠貴くんに喜んでもらいたいのに・・・。



どうして・・・?





「花咲!おはよう~!」




「お・・・おはよう・・・」





「花咲、俺のために好きな服を着てくれたんだな☆めちゃくちゃうれしいよ。マジでありがとう!すごく似合ってるよ♡」



「えっ?・・・・・・・本当に・・・・?」






「本当だよ。香織・・・。じゃあ、行こうか!」




「わかりました・・・・。」




(って・・・え?・・・・香織・・・・?花咲じゃなくて・・・・・香織?・・・・今まで、私のこと香織って言ってくれる人なんて誰ひとりとしていなかった。だけど、悠貴くんは言ってくれた・・・。悠貴くんのこと本当大好き!誰かれ構わずに教えたいっ!この私の気持ち!世界一悠貴くんといれて幸せ☆」