廃墟の空中




空になった食器を流しに運びその足で自室に向かうと、ドアを開けるや否や、もう一度ベッドに横たわりたい衝動に駆られる。
いやいやと首を振りクローゼットを開け、だらだらと寝まきから制服へと着替えてゆく。

ニャーと足元から聞こえた声とくるぶしに絡みついたふわふわの毛質に、お前も起きたか、と愛猫の“ケイ”を抱きかかえれば、今度はこいつがいやいやと体中をひねり、するりと私の手元からすり抜けた。かわいくないやつめ。

四回折り曲げたスカートのプリーツの形を整えながら、これを着るのもあと一年半かと残りの高校生活を逆算しながらふと思った。つまり私が「JKブランド」を脱ぐのも一年半後ということか。まだ学生でいたいものだ。


部屋を出てヘアアイロンを温め、その間に歯を磨く。
スマホとウォークマンの充電を確認して、口をすすいでアイロンに髪を通す。
鎖骨下3センチのミディアム、これが私の髪型で、入学してからずっと維持し続けている。

最後にカバンの中身を確認して玄関の扉を開けた。
後ろから小さくケイの声が聞こえた気がしたが、私はもう振りかえらなかった。