チン!
『498円になります』
チャリン…
500円玉のおつりと
弁当の入った袋を渡した。
『ありがとうございましたー』
いつも通りの流れで終わると思った…
『あ…忘れ物』
女性は2歩くらい歩いたところで戻ってきた。
『これ』
あたしの胸の前に名刺を差し出す。
『は…?』
『受け取って。』
『は、はぁ。』
『芸能事務所のものなんだけど…あんたに来てほしいの』
少しの間、意味が分からなかったけど
やっと落ち着いた。
これって…スカウトってやつ?
『でも、あたし…そうゆうの興味ないです』
とっさに出た言葉。
本当に芸能界とか興味なかった。
あたしはただ、普通に高校行って、普通に恋愛して
普通に友達と遊びたい。
それがあたしの今の願望だったから。
その願望に芸能界ってゆうものが入ると
なんか崩れてしまう気がする。
『考えてほしい』
女性は真剣な目であたしを見る。
『でも…あたし、バイトとか今の生活が大変なんで…無理です』
『そう言うと思った。』
フッと笑われた。
『もし、あんたにやる気があったら絶対売れる。
売れたら、こんなとこでバイトなんかしなくてもいいし、
今の生活よりずっと楽になるのよ。』
え…
『てゆうか、なんで家の事情知ってるんですか…』
『必死で調べたからに決まってんじゃん。』
『警察に言いますよ』
『まぁまぁ!また電話して!』
女性は逃げるように帰っていった。

