『756円になりま…す』
小さい声でそういうと、
『あ?なに?聞こえねー』
『すいません。756円になります。』
『1回でちゃんと言えよなー。ブス!』
『申し訳ありませんでした…』
『こいつ、ガチで謝ってるよ。だっせ!』
それを捨てセリフにあいつらは帰っていった。
『はぁ…もうやだ』
うつむいて小声で言うと
『あの子たち、あんたが可愛いからひがんでんのよ。』
は…?
レジの前から声がした。
頭をあげると、黒いスーツ姿でベリーショートの
かっこいい感じの女性が立っていた。
『あ、すいません。愚痴、聞こえてましたよね…』
あわてて謝ると
『いいのよ。誰だって愚痴ぐらいこぼすし』
女性はニッと目を細めて笑った。
なんか大人の人で歯を出して笑う人、初めて見た。
あたしがボーッとしていると
『これ、弁当温めてくれる?』
と女性がレジの上に置いた。
『あ、はい。』

