通学電車物語




「え…?」


驚いた…


彼がまるで『行くな』と言うよう、私の握ったままだった手に力を込めた



行かずに側にいてってこと?


でも…
違う…



彼はまた寝ぼけて勘違いしてるんだ



……彼女と

彼女に近くにいて欲しいと

こんなに苦しくても求めてるモノは彼女の温かな手なんだ



私はそう分かった途端、目から涙が溢れ出していた



「もうやだ…」


何で彼女じゃなきゃダメなの?



「離してよ…」



車掌さん呼びに行けないじゃん



私に泣く権利なんてない



たまたま通学電車が同じ
名前も知らない同士の私が…


こんなことお門違いもいいところだ



けれど私は溢れ出す涙を止めることができなかった




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