通学電車物語





私、今岡清羅は驚いていた



彼の頭が日だまりみたいになっていて、あまりの心地のよさにまた眠ってしまったらしい



そして何に驚いたかって



別に芸能人がいたわけでもゴキブリがいたわけでもない



再び目を覚ますと


なぜだか彼が

寝ているはずの彼が私の手を握っているのだ




私は彼の頭に預けていた顔を持ち上げて、彼に握られている自分の手をマジマジと見つめた



嫌じゃない…
むしろ嬉しい…



彼の細くて骨張った手が、私の手をスッポリと包み込んでいる



どうしよう…
バカみたいだけどドキドキが止まらない



喜びと緊張で手が小刻み震える



彼はただ寝ぼけただけで、彼女と勘違いして握っただけかもしれないのに




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