──ヒューーー…バーーン



『花火始まっちゃったに!』

「あと2時間やるし」


呆れながらバイクを走らす
蓮紅の背中にしがみついて
あたしは花火を見上げていた



「…ここでいいだろ」


バイクをとめた場所は丘の上だった
柵を跨いでちょっとした
コンクリートの上にしゃがみこんだ

前をみると海が広がっていて
花火を独り占めした気分になる


『綺麗じゃん♪流石蓮紅♪』


──ヒューーー…バーーン


蓮紅の肩に頭をのせると
蓮紅は照れながらも手を繋いでくれた


「好きだよ」

『内も好きだよ?』

「は?花火で聞こえない」

『好きだよーー!』

「聞こえん聞こえん」


絶対聞こえてるのに
蓮紅はわざと聞こえないフリをする


ムッとしたあたしは
蓮紅の耳元に顔を近づけて
「好きー!」と叫んだ




その瞬間蓮紅は
あたしの顔を掴むとキスをしてくれた
今までよりずっと、ずっと深い


「うるさい、馬鹿」


耳元でそう囁く蓮紅に
あたしの胸はキュンとなる



「愛してるから」


そんな言葉にあたしは落ちていた
照れ笑いを浮かべる蓮紅


今までで一番幸せだと思った
この時間が止まればいいのに