「まあ、どうしても嫌なら攫っちゃうけどね?」


ギュッと指輪がはめられた手を握り、
イタズラをする子のようにニヤリと笑う樹のその顔を見て、


私に拒否をさせない強引さを感じる。


その樹の態度に顔を真っ赤にするのはずっと変わらない。



昔から時折見せてたその強引さが、私を縛り付けると同時に安心感を与える。





ああ…なんて幸せなんだろう…






私は樹に握られていた手をひっくり返し、握り返して手を繋ぐと、




「どこまでも攫ってください」



と、精一杯の返事をした。












脇役だと思っていた自分。


王子様が好きになってくれた自分。




あなたが私を好きになってくれたから、

私は世界一幸せな主役になれました。




これからは、愛するあなたと素敵な家庭を………。





~END~