「失礼な!……ってそうそう!次急に移動教室になったの!!
まひる、ケータイ教室に置いて行ったみたいで繋がらないし!

ほら、教科書と筆記用具!さっ行こう?」



一気に喋りながら、私に教科書と筆記用具を渡す美砂は、

クルッと私達に背を向けて歩き出した。



私はその背中に笑いながら歩き始めると、




グイッと右腕を引っ張られる。


あっと言う間に近づいた朝倉君の顔に驚く暇も無く、


「チュッ」と軽く口と口が触れた。



顔が離れてから、声を上げようとすると、

朝倉君は自分の口に人差し指を当てて、
『しっ』と小さな声で言った。




ちょうど朝倉君の腕が離れたところで、
美砂が振り返り、「まひる~」と私を呼ぶ。


バレてないようだが、
2人の秘密のようでドキドキが増す。



「あっ、俺向こうだから、じゃあまたな」

と、朝倉君は美砂が進む逆方向を指差した。