押された私の身体は、背にあるドアにぶつかった。

後ろにはドア、前からは朝倉君に押されて、身動きが取れないまま朝倉君の顔を見れば……


朝倉君の整った顔が、近づいてくるのがわかった。


スローモーションに見えるそれに、何も考えられない私は固まる事しか出来なくて、



自分の唇に柔らかい感触…
『チュッ』というリップ音…
離れていく朝倉君の顔…



朝倉君の顔が元の位置に戻った時になって、
キスをした事実に気付いた。






「……まひる、ちゃんと話すから、今度は俺の話を聞いて?」




さっきまでの鋭い目や口調はどこへやら…


優しい目で、あやすような口調で言われれば、

私の目からは生暖かい涙が流れた。



ああ……私はこんなにも朝倉君と別れたくないんだ……