「…どうしたの?」

黙って俯く俺に気付いた彼女が心配そうに俺の顔を覗きこんだ。

「えっ?あ、いや、何でもない」

「そう?」

「うん…、あ、そうだ!明日はどうするの?」

「え、急に何」

話を突然変えたから、藤井さんは目をまん丸にしている。
目を泳がせながらも、俺は話を続けた。


「明日は何したいのかなって思ってさ。
いや、理由はないよ、特に」

「…明日かー…」

「そっ、そう、明日!」

体を前に戻しながら、藤井さんは俯きながら考え込んでいた。


「決まってたんじゃないの?」

「うん、決まってる。明日はケーキ食べ放題」

「ああ、確かそう言ってたね」

以前、藤井さんがそう言っていたのを思い出す。


「いっか、ケーキ食べ放題行こう!!」

「わかった、でも俺あまり甘い物得意じゃないけどいい?」

「平気、そこ普通に軽食とかあるし」

「よかった、じゃあ明日行こう。楽しみだね」

「…本当に。楽しみ」


噛みしめるように。

藤井さんはそう、呟いた。