「…何か痛くない死に方、あるかな」

「基本的に…ないかな」

「ないんだ」

「でも、薬なら痛くはないかな」

「そうなの?」

「でも、大量に飲んで、アルコール飲んだりしないとダメだよ。
それでも平気?」

「…錠剤?」

「うん、最低でも三ケタ」

藤井さんは顔を歪めると、無理と言う。
まあ、俺も無理だろうなと思った。


「失敗の確率高いしね。失敗したら後遺症も残ったりするよ」

「…やだな、それは」

「じゃあ、やっぱり飛び降りか…リスカとかかな」

「飛び降りか…。リスカでも死ねるの?」

「まあ、時間はかかるけどね」

「そうなんだ」

それからまた藤井さんは口元に手を置くと、黙って俯く。
何かを考え込んでいるようだった。