「…こんな写メよく撮れたな」


俺がぽつりとそう言うと、翔はああと頷きながら

「これ、そのマンションに住んでた奴が撮影したんだよね」

そう言った。


どうやら、話を聞いてると警察が来る前に撮ったらしい。


そいつだけでなく、他にも多数撮ってる人はいたそうだ。
見る機会なんてないし、当然っちゃあ当然なのか。

それに頭が回らなかった俺は、相当あの彼女に興奮してたんだろうな。


そいつの名前を教えてくれたけど、俺は知らなかった。
そいつは俺に気付かなかったのだろうか。

制服を着てたからわかるはずなのに。



そう思ってると。


「なんかさ、うちの学校の制服着てた奴が死体の前に座りこんでたんだって」

「え」

「信じられねえよな、よく平気だよ。
気持ち悪くねえのかな」

「……………そう、だな」

「あ、チャイム鳴った。じゃあ、クラス戻るわ」



そう言うと、翔は自分のクラスに戻って行った。


俺は翔を見送る事なく。
始まった授業も全てが耳を通り抜けていた。