真っ青な顔の中で、唇だけが色付く。


それだけで、俺の胸はドキドキとした。


心臓がうるさくなってきて、俺は手を再度藤井さんと繋ぐ。
冷たくなってきているその手。


それで更に鼓動が早くなる。


「藤井さん…」


ぽつりと、そう呟く。

だけども、返事は戻って来ない。


震える手で俺は彼女の頬を触れる。


赤みが薄れている頬。


「…綺麗」


ゆっくりと、その体を抱き締める。


冷たい体。
たった、一時間二時間じゃ死ねない…はずだ。

リスカでは。


だけど、彼女は動く気配が見当たらない。


眠っているから、とはまた別で。


…薬物中毒?


藤井さんが何錠飲んだかはわからない。よく見ていない。
錠剤は嫌だと言う藤井さんの話から推測するに、もしかしたらあまり普段薬を飲まないのかもしれない。