「今日は…ありがとう」

「うん」

「私、駅でいいよ」

「え、でも遅いし」

「いい。大丈夫」

「……」

これ以上一緒にいるのが辛いからだろうか。


藤井さんの真意はわからなかったけど。
きっと、俺を好きな事に何もかもが関わっているんだと思った。

不思議だと、今まで思った事全てに。


きっと、怒った事も。
涙を流した事も。
赤く顔を染めた事も。

全て。


「“また”明日」

藤井さんは“また”を強調すると、ホームに俺を残して走って行った。

サラリーマンの波に飲み込まれて。
藤井さんの姿はすぐにわからなくなった。


「…また明日、か」


ぽつりと、俺は呟くと家路へと向かった。