兄達を見送った後、
私は忘れてた。
いや、正確には忘れたフリをした。(認めたくないから頭の中で現実を避けていた)



「……あ、あのぅ…」


ボソッと小さい声が聞こえた。



聞きたくなかったから無視したけど…、私は結局可哀想にみえたので振り向いた。



そしたらさっきの男とは違う可愛い顔立ちをした男が立っていた。




クリクリした大きな目。
小さい唇。
小さい顔。
綺麗なバニラクリーム色の髪。



でも、背が私より5センチ上しか変わらなさそう…。




ハッ! 思わず見とれてしまった…。



「…えっと……どちら様で?」



とりあえず、そこから聞く事にした。



「…へっ!? あ、…あの……た…尚様や…瑠魔様から話を聞いていないの…ですか……?」




分かってる…分かってるよ、そんな事…。



ただ聞きたくないだけ。 そらしてるんだよ…。



だって…だってこんなの……ありえないもん…。



確かに昨日は、
『別に何でもいいよ』的な事を言ったよ。



男13人、女2人。



最初はどうでもよかった事だと思ってたけど、よく考えてみたらこの家……男で埋まるっていうことだって今気付いちゃったよ……。



昨日気付いてれば…。



修正出来たのかもしれない……。



今頃過去を悔いても意味なんてないし、手遅れ……。



「…聞いたよ、執事雇うって……。」



「…なら話は早いです。後で、執事、メイドの自己紹介したいと思いますので…お集まり下さい。」



「自己紹介?」



執事やメイドの自己紹介かぁ……、名前覚えないとってのもあるし……良い機会かもしれない……。



「…うん、分かった。後で行くね」



そう言うと執事は何故か頬を赤くして、


「…はっはい!! よ……宜しくお願いしますっ!!//」



と言って走っていなくなった。