…4時56分……。


あと4分で5時になってしまう。



私は咄嗟(とっさ)にドアノブに手を伸ばし開けた。



…あの男を置いて。



あ…、名前聞くの忘れてた…。




部屋を出たら、玄関の方から…



「…じゃあ、俺らもう行くから。」



「あいつに宜しく言っといてくれな、絶対あいつを危険な目にさせんなよ! そしたらお前を地の果てまで追いかけ回してやる!!」



という声が聞こえた。





きっと、瑠魔兄だな。

過保護すぎるんだよ、うちのお兄ちゃん達は。



「…はいはい、行くよ瑠魔。じゃ、結魅を宜しくな」


と言って去ろうとする兄達に向かって叫んだ。




「…まっ、まってっー!!! お兄ちゃん達!!!」



走って外に出る。



「…おまっ、起きてたのか!?」



ビックリした表情の尚兄。

ニヤリと笑ってる瑠魔兄。



「おおう、我が妹よ。見送りなんて…」



瑠魔兄が言う。



「…いっいってらっしゃい! 気を付けてね!!」



と言うとブワッーと涙を流した尚兄。



「…ゆ…ゆみぃぃ~、いい子に育ったな~!!」



とか言いながらね。



「…もう時間がないから急ぐよ。たまには電話はするから。」



ハンカチで涙を拭き終えた後、背を向けて兄達は歩きだしたのだった。