蘭蝶Ⅱ【完】

沙織「あのときね、散歩してたの。あの場所の近くを」

桜「ッ……」

沙織「そしたら、桜ちゃんが連れて行かれるのを見て…」


その先のことは説明しなくても分かった


桜「じゃあ、蘭姉が………」

沙織「えぇ…見てたわ」


沙織さんは苦痛な顔をして続ける


沙織「あのね、あたしには戦乱風‐センランフウ‐って術を使えるの。戦乱風っていうのは、瀕死状態の人間―死にそうな人間を助ける術。だから、それで蘭ちゃんを助けようとした。でも、間に合わなかった……。この術にはね、霊力が必要なの。たくさんの霊力が――。あたしの霊力がもっとあれば、蘭ちゃんは助かったかもしれないッ。でも、あたしの力不足で―――」



沙織さんは泣いていた



桜「ちがう!沙織さんは悪くない…悪いのは全部あたし…」