「って違うわよ! 私はアンタに文句を言いに来たのよ!」





「なんだよ、マヤの文句ならさっき聞いただろ? それより俺、今日は早く帰ってドラマの再放送見たいんだけど」



「はぁ!? ドラマとか・・・って、え? ドラマ? もしかして・・・“裾野辺家の人々”!?」



「そうそう、それ。なんだ、マヤも好きなのか」
「マジすっごいいいよね! ね! もー今回の再放送で観るの2回目なのに、マジ泣いちゃってー。先週もマジよかった~」


「あー、よかったよな。タカミチがあそこで助けにくるとか、ちょっと俺もウルッて来ちゃったよ」


「え、ジンも?! マジで!? ね、アソコ良いよねー!」



って、そうだ。それなら私も早く帰らないと・・・



「ねぇねぇ、ジンって帰り道どっち?」



「駅の北側だけど・・・」


「あ、マジ? じゃあ途中まで一緒じゃん。かえろかえろ! 私もマジ観るし!」



「え、お、おい・・・」



ドラマを観たくて仕方なかった私は、ほぼ初対面のはずなのに、ジンの腕を引っ張って一緒に帰ったのだった。