スネークアイズ

P.M.12:00

『秋葉原』

「姉貴、くっつきすぎだよ!」

「カップルのフリしなきゃダメなのよ。これくらい我慢しなさいよ!」

沢村栄治の、長女の響子と次男の楓が野地の事務所に向かっていた。

「ここよ!楓、行くわよ!」

安西ビルと書いた看板に『四階 野地探偵事務所』の文字を見つける。

響子と楓が、事務所のドアをノックした。

「失礼します。私、大川内と申します…探偵の方はいらっしゃいますか?」

響子は、偽名を使っていた。

従業員と思われる男性が、一人立っていた。

「申し訳ありません…只今、野地は外出中でして。」

「そうですか…今日は何時頃、戻られますか?」
「あいにく、今日は直帰すると思われます。お伝えする事があれば、承りますが…。」

「それでは、また出直します」

響子と楓は、足早に事務所を後にした。