スネークアイズ

公志は携帯で息子に電話をかけた。
「はい、宮本です。」
「父さんだ、もう帰るから…。」
「わかった、気をつけてね」そう言い電話を切った。

ふと、店に煙草を忘れた事に気付き、もう一度店を引き返す事にした。

A.M.2:44
調理場の鍵が掛かっている。公志はジャケットの右側のポケットから鍵を取り出し右に回す。

「カチャッ」
そのままドアを開く。まだ沼田がいる、店を出てから10分も経っていない…当たり前だ。
しかし、10分前の沼田とは明らかに様子がおかしい。
「どうした、具合でも悪い…の…か…?」
沼田の左手に目をやると右手から注射器を刺してるのがわかる。
沼田の体が小刻みに震え出す。

間違いない、『覚醒剤』だ…。