スネークアイズ

P.M.20:00
武志は、残りの瓶ビールを一気に飲み干しトイレに向かう。
『ドンッ』

トイレのドアの前で、女性と肩と肩がぶつかる。

「すみません、大丈夫…?」

「………。」

女性は武志を睨みつけ、カウンターの方に向かって行った。
「…?」

武志は、床に目をやる。さっきぶつかった際に何か落としたみたいだ…。

「名刺入れか…。」
武志は中身を見た。キャバクラの名刺のようで、多分彼女のだろう…カウンターに座った女性に近付く。

「さっきはゴメン、これ君のだよね?」
「………!」

不機嫌な顔のまま、名刺入れをもぎ取った。

「……!!」

武志は、一言、二言、言いたげだったがトイレに行きたくなりすぐに向かった。
肩くらいまでのショートカットで、モデルのようなスタイル、ルックスだったがムカついて性がなかった…。

しかし、名刺を見た時の事ははっきり覚えている。名前は『春香』、新宿クラブ『REV』と書いてあった。

武志は何か不思議な感じを抱いていた。
「どこかで見た事のある眼をしている…」と。