キスなんてさせない(短編)

何でそんな事聞くの?

健太が好きじゃなかったら付き合ってないじゃん。

そう言えば、あたし…健太に好きって言った事ない。

告白は、健太からだったし……。

「好きじゃなきゃ付き合わないでしょ」

あたしは、照れながらも健太に言った。

「陽菜、それ本当?」

健太は、目を丸くしてあたしを見てる。

そんなに見ないでよ。

恥ずかしいし……。

「本当だよ」

あたしは、健太を見てそう言った。

「陽菜ー」

近い……

健太の顔が近い……

健太がだんだん顔を近づけてくる。

ヤバイ……緊張する……

でも、キスしたら。

あたしは、顔を背けた。

健太は、切ない顔をしてる。

こんな顔させたくないのに……。

「何で陽菜は…いつも俺がキスしようとしたら背けるの?」

「それは――……」

しばらく沈黙が続いた。