「いや。まだ、あげてない」

「早くあげたら。健太君、喜ぶよ」

ああ、言いづらい……

「それがね……」

「陽菜、健太君が呼んでるよ」

あたしが言いかけた時、可奈が言った。

えっ……健太?

会いづらい……

でも、頑張らないと……

「陽菜、ちょっと屋上で話そう」

「うん……」

あたしは、黙って健太と屋上に言った。

「陽菜、こないだはごめんな……」

「うん。あたしも悪かったし……」

「俺、隠し事されてたからいやだったんだ。だから、ついあんな事言ってしまった。
本当にごめん……」

「あたしもごめん……。あのね、あの時本当はチョコを作ろうとしてチョコの材料を買いに行ってたの。恥ずかしくて隠してたけど……。はい、これ健太に……
下手くそかもしれないけど……」

あたしは、健太にチョコを渡した。

健太は、目を輝かせてこっちを見てる。

「まさか陽菜から手作りのチョコもらえると思ってなかった。ヤバイ、嬉し過ぎて感動した。ありがとな。今、食べていい?」

「うん」

健太は、ラッピングからチョコを取り出してチョコを1個食べた。

「うん、うまい」

「本当?よかった」

よかった。

健太にちゃんとチョコを渡せて……

あたしは、照れくさくて顔が真っ赤になってた。

「陽菜、顔赤いよ」

「そんな事ないよ」

「陽菜、かわいすぎる。なあ、俺我慢出来ないけど……」

「何が?」

「キスしていい?」

「キスなんてさせない」


      ~●end●~