「ねえ、何も思い出せないんだけど」 記憶を探そうと考え込んでも、これっぽっちも思い出せる雰囲気がないので、私は早々に諦めた。 とりあえず何か知っていそうな彼に聞いてみることにした。 すると返ってきたのは。 『ま、そうだろうね。そうじゃなきゃ困る』 なんともあっさりした答え。 さも当然のように言われる。 文句を付けようと口を開いたら、また遮られてしまった。 『とにかく、記憶はそのうち戻ってくるよ。それより……』 「何よ」 勿体ぶる彼に催促。すると楽しげに彼は告げる。