やっと終わり、帰りに手見上げをもらった。


中身はホテル特製のローストビーフと後藤守のCD。


よほど良かったのか、彼は地下鉄の女を口ずさんでいた。


『いやぁ、この肉の塊があったら3日はしのげるぜ!』


ちょっと最後は疲れたが、良かったには良かった。

『楽しかったね~』


ん?彼は鼻歌をやめ、急に黙り込んだ。


『どしたの?』


彼は泣きそうな顔をし


『俺んち、CDデッキ無い…』

と、目をうるわせている。
『カセットデッキあるなら私、テープに落としてあげるよ?』


答えは彼を見れば一目瞭然だった…


てかスーツは借り物、CDデッキもカセットデッキもない、食事は廃棄弁当って…

どんな生活してんだろ。

何故かちょっとだけ気になった…