金持ち女VS貧乏男

入口で受付が終わると、隣に居るはずの彼が居ない。

ん?どこだ―――いた!

ステージ前の席に座り、料理を睨んでいる…

オィオィ勝手に食べるなよ…と、内心ハラハラしながら彼の横に座った。

直ぐに照明が落ち、辺りが静まり返った。


今にも食べ始めてしまいそうな彼に私は声を潜め

『まだ食べないでよ』

と言った。

彼はまるで子供のように首を立てに振り、

『うん!』と、また子供のように答えた。



まるでエサを目の前にして、飼い主に〝待て〟をされてる子犬のようだ。


きっと私が〝よし〟と言ったら夢中で食べ始めるんだろうな。


ちょっとおかしくなり、1人、笑いをこらえた。