倒れた男は派手に転び、一瞬、死んだかと思うくらい、ピクリともしなかった。


しかし……。

『テ、テメェ、殺してやる!』


そう言って立ち上がった後の事は、ほとんど覚えてない。なんせ、ボロ雑巾のようになるまで蹴られ続けられたのだから…

意識が遠くなり、死ぬんだな…て思った。




どれくらい意識を失ってたのか、寒さのせいか、痛さのせいか、目が覚めた。


小さな街だ。裏道で夜中に人が寝てようと、死んでようと、誰も見つけてくれない。てか人が居ないんだから仕方ない。

『綾子?』

辺りを見回すと彼女が居ない事に気づいた。


まさかな………。


俺の悪い予感は的中する事となる…。


ボロ雑巾にされてから、3日後の夜、警察が家に来た。


『江口新吾さんですね』

『はい…なにか』

『ちょっと話しを聞きたいので同行願います』