その日の夜、バイト先に直美が来た。


『これ、ありがとう』


お!俺の歯磨きコップ。

『お前食うのはやいなぁ。大体半分こしたんだけどな、俺まだ残ってるぞ』

こいつ、ホントに金持ちなのか?食うもんが栗きんとんしか無かったりして…

直美が棄てたのも知らず俺は勝手な想像をしてた。

『これ。あげるよ。昨日のお礼。私からは何も、お礼してないじゃん?』

なんと手渡されたのは…靴下!? ん?

『昨日、靴下に穴あいてたから。』


確かに俺の持ってる靴下にまともなやつは無い。
かかとが薄くなってるか親指が、〝こんにちわ〟してる物ばかりだ。

しかし――

『靴下なんて見えないんだから、どうでも良くねぇ?』



ん?なんだ?
その呆れた表情は。